人の出会いには様々な形があるが、俺の場合は結構一般的とは言えない形だと言える。
なぜって言えば、それは俺の嫁って言っちゃっていいのかどうか、まあ現実に俺たちは正式に結婚をしているからいいのだろう。
その、嫁との出会いはまさにドラマだった。
どうドラマだったかって言う部分が一般的ではない部分だ。
それは俺が中学三年になったときのことだった。
新学年を迎え、クラス替えで俺は二組みになった。
そして、新任の担任が来たのだ。
新任もいいところで、去年から教師になったばかりの若い女性の先生だった。
ホームルームが始まる時間に彼女はごく普通の、当たり前と言う様子で教室に入ってきて、騒いでいる俺たちに向かって「さあ、皆んな席についてちょうだい。始めるわよ」と、いきなり高らかに宣言をしたのだ。
声がする方を見ると、黒縁のメガネをかけたスラリとしたプロポーションで、色の白いボブヘアーの綺麗な女性が教壇に立っていた。
なんだか場違いなほどの美しい人だった。
俺は急に胸が苦しくなり、顔が熱くなって暑くもないのに汗が吹き出してきた。
そう、一目惚れだ。
八つも年上の、しかも教師である彼女に一目惚れだ。
彼女の担当は数学だった。
俺は数学が得意だったのだが彼女が教壇に立ち、教鞭をとると全く授業内容が頭に入らなくなった。
当たり前のことだが、彼女に見とれていたからだ。
成績は落ちる一方で、ある時に彼女に呼び出せれて屋上のベンチに並んで腰掛て話をしたときに俺は告った。
彼女はそれを予想していて「判っていたわ。今の年の差は現実的ではないけれど、君が大学を出た頃にはあまり意味のないものになるかもね。その時に私を迎えにこれるかな?」と言ってくれた。
そして、俺はT大の法科在学中に司法試験にパスをして卒業後裁判官になり、彼女を迎えに行った。
彼女は俺を迎え入れてくれた。
今は俺の愛する奥様というわけだ。
彼女が屋上で言ったように、現在の俺たちにとって八才年上の奥様との年の差は全く問題がない。
彼女は若々しく、十才は若く見えるせいもあるのだろうが、そう言うことではなく、おたがいの気持ちの問題だからだ。
八年間、俺の気持ちは変わらなかったし、彼女も本当に俺を待っていてくれた。
出会いはイレギュラーだったが、今はどこの誰よりも俺たちは幸せだ。
しかし、出会いが人生のある部分を決定づけてしまうことはありえるのだなと、今でも不思議に思っているし、感謝もしている。
出会いは大切だ。
まさに一期一会だ。
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